【BL】俺がお前にできること



車の騒音もかつかつと歩くハイヒールの音も、風が木々を鳴らす音すらも、俺を気分わるくさせて



「頭ガンガンする…」



そう呟いてイヤホン耳に入れて、郁馬も好きだと言ってくれた曲を聴く。


ん、これ聴いてたら楽かも。



周りの音を一切、遮断して
学校についてようやく、イヤホンを仕舞う。

4時間目の途中だったから廊下はしんと静まっていた。




平常心、平常心……

いつもの俺……郁馬の親友の俺……みんなと何ら変わらない男子高生……



気持ちをぴんと張り詰めさせて、俺は教室のドアを開けた。





こっそり後ろから入ってばれないように、したはずなのに先生に睨まれた。




「こら、お前は……!なんで遅刻したんだ?」



「すみません、寝坊しました……へへ」



「“へへ”じゃない!もう少し反省しろ!」




俺と先生のやりとりでクラスから笑いが生まれた。


だから、俺も恥ずかしそうに笑ってみせる。



俺を睨んでる一人に気づかないフリをして、普通の空気で席についた。





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