【BL】俺がお前にできること




「…え?」




「仮に俺がお前に答えたとして、お前はどうすんの?って聞いたの」



「どうって」




「どうもできないだろ。お前が困るだけだ」




俺の想いを知ったところで、何も変わらない。

この優しく包んだ“肯定”ですら、お前は答えられていない。



俺はお前を……困らせたいわけじゃない。
もっと俺の傍で笑ってほしかった。……その役目はもう、鈴に譲るって決めたけど。





「翔太くん」



遠くから手を振る剛さんが見えて、利用しようと決めた。




「あと、俺もう郁馬とご飯たべない。剛さんと食べるから」




「は?なんでだよ」



好きだから離れるんだよ、鈍感だな、ばか。



「それと……部活も待たないから」




「待てよ、翔太……っ」




てゆーか、なんで郁馬の方が泣きそうな声出してんの。

泣きたいのは俺のほうだ。



本当は昨日から必死にお前にどう話しかけようって考えて結局「おめでとう」すら言えない親友としての俺の情けなさに嫌気が差してたりする。


祝福の言葉も、俺の想いも
なにひとつ伝えてないだなんて、最低だな。


まだ全然、祝福、できてない。





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