【BL】俺がお前にできること




ちゅっとリップ音を合図に
ヒナの唇は離れて、それと同時に閉ざされていたヒナの瞼(まぶた)が開いた。



あぁ…今のヒナすごく色気でてる。

同じ男とは思えない…

かっこいい……すき、すき、…好きなんだよ、ヒナ。



「好き」



………え?今僕、なに言った?

今、声でてなかった?

ヒナの目が驚いてるってことは、確かに声にして伝えちゃった?



やっと現状を理解して心臓がバクバクと鳴り響いた。


ど、どうしよ。
僕が告白をしてしまった。しかも男に。先輩に。憧れの人に。



ひ、引かれた?
でも、きっと言わなくたって僕の気持ち、ヒナは分かってた。


え、でも、それは本当に?
100%ヒナに気付かれていた?




おろおろしながら、ヒナを見ていると
くすっと笑ったあと
軽くため息を吐いた。

「まったく…弥生ちゃん今どんな顔してたか分かる? 涙目で顔真っ赤で、俺のこと誘ってたよ」


「さそ…!? 誘ってない!!」



「ふーん。無自覚なら、さらに質が悪いな」



あ、あれ?
さっきの告白は無しになっちゃったのかな?



そう思ったけれどヒナが
もう一度、確かめるようにキスをしたから、そのあとに言葉をくれたから、僕の告白も、ヒナの気持ちも確かなものなのかなって一人、嬉しくなった。






「俺がキスした意味、わかるよね?」



僕の告白を受け入れてくれたって、
お互い同じなんだって、自惚れてもいいよね?




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