【BL】俺がお前にできること
だけどヒナの携帯が鳴って僕から離れていってテレビを見ているフリをしてみた。
…背中、寂しい。
向こうからヒナの声がして、楽しそうな笑い声が聞こえる。それと微かに混じる甲高く優しい笑い声。
しばらくして、戻ってきた君は
「じゃあ、また月曜日ね」と言って小さく笑った。
きっと来るんだ、この部屋に。
本当の恋人が。
「……うん」
返事をした僕の声は、少し震えてしまった。
玄関まで僕を見送るヒナが、すごく申し訳無さそうに「送れなくてごめんね」て顔してる。
僕は男だから大丈夫なのに。
バカだね、ヒナは。
「好きだよ、弥生」
「…僕も」
僕に好きと言わせるために仕掛けてくるヒナの手に乗ってやるかって強きで睨めば、くくっと笑うヒナ。
きっと僕の顔から気持ちなんて滲み出てるから言葉にしなくても分かるけどねって余裕なんだろうね。
ほんと、むかつく。
ヒナは表情になかなか出ないってのに。
むかむかする、だから
背伸びしてキスを仕掛けて、あっかんべーしてやった。
僕より叶笑さん優先したお仕置きだよ。ばか。
あぁ……今日も眠れなくなりそ。憂鬱。