【BL】俺がお前にできること
しばらくして震えも止まり、呼吸も落ち着いたところで「…郁馬」と呼んだ。
俺が呼べば郁馬は「ん?」と言いながら顔を覗き込む。
「…目ぇ真っ赤。5時間目さぼる?」
「……さぼる」
泣きすぎて眠い。
郁馬の胸に顔埋めて匂いを嗅ぐ。…いいにおい。
香りに当てられて、うとうとしてたら
郁馬が俺の肩を掴んで距離をとった。
なんか…拒否されたみたいで寂しい。
「いく、ま…?」
くっつきすぎて、うざがられたかな…?
「何があったかは、翔太が落ち着いてからでいい。……けど、服は直せよな……変な魔が差すから」
そう言われて制服みれば
剛さんに脱がされたままでボタン上半分も止まってないことに気づく。
「うっ…ごめん」
「おう…」
ボタン止めて他に変なとこないかチェックして、もう一度、郁馬に飛び付く。
ねむい。忘れたい。
「郁馬…ごめん……ねむい」
「あぁ、いいよ」
起きたら、ちゃんと話すから。
だから、待ってね。
意識を飛ばしたあとに
「お前が何されたか気になって眠れねぇ…」と郁馬が俺の頭を撫でながら唸っていたことを、俺は知らない。