【BL】俺がお前にできること
「くくっ…男前だな。そんなこと言われたら逆に燃えるんだよ、馬鹿め。…でもま、付き合っちゃってるなら諦めないわけにもいかない、か…」
悩ましげに剛さんが唸り、早く諦めればいいのにって顔してたら目が合って笑われた。にんまりと。
…嫌な気しかしない。
「じゃあさ。一回だけお出掛け、付き合ってよ」
二人きりで…さ?と言われて断ろうとしたら、切なげに見つめられて何も言えなくなった。
何も答えられなくなりそうで
郁馬の腕掴んで俯いて、逃げた。
弱いな、俺。
なに自分と重ねてるんだ。
「最後にするから…だから、お願い」
郁馬は焦ったように舌打ちをしていた。
きっと、余裕ないのかな?
そうだったなら、俺に本気であったなら、嬉しいなあ…てぼんやり考えた。
だけど、
剛さんの嘘のなさそうな言葉に、流されてしまいそうだった。
まるで片想いの時の自分を見ているようで、苦しい。