【BL】俺がお前にできること






「おはよう、翔太っ!
体操服、忘れてるわよ~」



バッと後ろから、現れた人を見て
さっきまでの幸せな空気が一気に飛んでった。





「おはよ。いつも悪いな…」



「ううんっ!慣れてるし平気。……ぁ、郁くんもおはよ」




いつもと変わらない鈴。
俺の前でも笑うし郁馬を前にしても、ためらいつつも笑っている。



「おはよ、すーちゃん……」




だけど、郁馬は違う。


郁馬と俺との間は確かにたくさん変わった。
だが、それと同じくらい鈴と郁馬の間も変わってしまった。



鈴と郁馬は前のように親しく話すことがなくなったし、郁馬は鈴の前じゃ上手く笑えなくなった。




失恋した相手だし、仕方ない。


だけど、鈴といる郁馬は
すごく辛そうな顔をするから嫌だ。





「ほら、鈴。前の方に友達いるぞ。早く行けって」



わざとらしいかもしれない。
それでも今は郁馬に近付かないでほしかった。





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