【BL】俺がお前にできること




「翔太?」



「気にすんな。俺がこうしたかっただけだから」




俺がお前に振り向いてほしいから。

鈴を忘れてほしいから。

好きになってもらいたいから。




そこまで考えて、なに高望みしてんだ……、って小さく笑う。


でもやっぱり、人って
幸せなことが重なると、欲深くなっちゃうんだよ。




「ありがと」



下向いて歩いてたら、上から郁馬の言葉が降ってきて、握った手を俺より強く握り返してくれた。




あぁ…やばい。
郁馬、俺の顔見てないかな?

…よかった、前向いてる。



俺、今……すっごい顔してる。
見られちゃいけない顔してる。


好きが溢れた顔してる……。



耳まで熱く感じながら
俺は、そんなことを考えて、郁馬にバレていないかばかり気にしていた。






< 66 / 382 >

この作品をシェア

pagetop