【BL】俺がお前にできること
「翔太?」
「気にすんな。俺がこうしたかっただけだから」
俺がお前に振り向いてほしいから。
鈴を忘れてほしいから。
好きになってもらいたいから。
そこまで考えて、なに高望みしてんだ……、って小さく笑う。
でもやっぱり、人って
幸せなことが重なると、欲深くなっちゃうんだよ。
「ありがと」
下向いて歩いてたら、上から郁馬の言葉が降ってきて、握った手を俺より強く握り返してくれた。
あぁ…やばい。
郁馬、俺の顔見てないかな?
…よかった、前向いてる。
俺、今……すっごい顔してる。
見られちゃいけない顔してる。
好きが溢れた顔してる……。
耳まで熱く感じながら
俺は、そんなことを考えて、郁馬にバレていないかばかり気にしていた。