怪盗は静かな夜に出会う
青い月の秘密
「さて、話は聞いてただろ?そういう事になった!」
静夜が月斗からの握手に応えた途端、彼はどこへともなくそう言った。
「―――え?」
何の事か分からない静夜は、何度も目を瞬かせる。
そんな彼女にニヤリと笑ってみせた月斗は、握ったままの右手をそのままに左手でイヤーカフスを取る。
そしてそれを静夜の耳元に近付けた。
『あ、静夜ちゃんっ?初めましてー!オレ、サポートの貴也(たかや)でっす』
軽いノリの声が彼女の耳に届く。
「は、初めまして……?」
どこへ向けて返事をしたらいいか分からないながらも、静夜はそう答えた。
そんな彼女に、月斗はそれで大丈夫だと頷く。
『やあ静夜嬢、私はカルラ。君の提案を歓迎するよ』
次に聞こえたのは、紳士的で優しそうな印象の男の声だ。
「あ、ありがとうございます……」
静夜がそう答えると、月斗はイヤーカフスをまた自身の耳に戻した。
「今のは俺の仲間。他にもまだいるけど、今日一緒に来たのはあの二人だ」
「怪盗ブルームーンって一人じゃないんだ?」
「まぁな」
得意げに、月斗は笑って言った。