小悪魔wolf×天然bunny
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「うわぁ、結構な人数だね〜。」
「やっぱあんたち要らなかったじゃん。」
勧誘を終えて体育館に戻ると、すでに30人くらいの一年生が部長から説明を受けていた。
そういえば、ここのバスケ部目当てで学校に入学した子もいるって聞いたな…。
きょろきょろと辺りを見回していると、
「杏実っ、見て!……あの一年生、めっちゃイケメンだね!」
「んー?」
リコが指差した方を見ると、そこには……佐野くんがいた。
ど、くんっ……
?…何だろう今の。
佐野くんを見た瞬間、心臓が脈打ったのがはっきりと分かった。
「佐野、くん……?」
「ん?杏実、知り合い?」
名前を呼ばれたのに気づいたのか、あんたちの方を振り返った佐野くん。
ゆっくりと顔を上げた彼と、目が合った。
「……あ。」
発された声。
でもそれはあんの声でも、佐野くんの声でもなかった。
不思議に思って隣を見ると、リコが口を開けてぽかんとしていた。
リコ……?
そう口を開こうとして、低く静かな声に遮られた。
「……リコさん?」