幕末桜
「……蝶…起きて…蝶」

ズキン、と頭が割れそうに痛い。

「んっ…」

私は目を開けると眩しくて温かな光が入ってくる。

そして…

「「「蝶っ!!!」」」

ずっと聞きたかった声が聞こえてきた。

「蝶…蝶!蝶ーー!!!」

ギュッ。

私の名を叫んで抱きついた人は左之さん。

「なっ!!てめぇ!!左之!ずりぃじゃねぇかっ!!」

そう言って涙を流しながら私から左之さんを剥がしたのは新八さん。

「新八さん…な…んで泣いてるの…」

私は微笑みながら言った。

「いやぁ!!蝶ちゃんっ!!良かったぁ!!良かった…」

「…近藤さん…。ご心配…おかけしました…」

涙を流しながら手を握ってくれる近藤さん。

「蝶!!!俺本当に心配だったんだよ!!?蝶がいないと俺……」

「…藤堂さん…ありがとう…もう泣かないで下さい…」

涙を流す藤堂さんがなんだか可愛くて笑ってしまった。

「…蝶、ったくてめぇは…心配かけやがって…」

フッと微笑む土方さんの目が少し潤んでいて、

それが嬉しくて笑顔になる。

「…すいません、土方さん…もう大丈夫です…」

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