幕末桜

桜河−side−

美緒莉を迎えに行き、家に帰ってふと蝶の部屋によった。

蝶の事だから、また何処か外にいるかもしれない。

…予感的中。

部屋には蝶の姿がなかった。

まぁその内帰って来るだろう。

そう思い、俺は自分の部屋に向かった。

襖を開けるとそこには蝶がいた。

蝶は幼い頃から度々俺の部屋に遊びに来る。

自分が見たことの無いものがたくさんあるからだろう。

けれど蝶は珍しく本を持っていた。

それは………

俺が声をかけると焦った声で謝る蝶。

美緒莉にそっくりだ。

俺が怒っていると思ったのだろう。

微笑みながら話しかけると蝶は安心した顔をした。

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