幕末桜
でも何だろう…

大事な話しって…

母様のあのお顔からして冗談には見えなかったけど…

「父様、失礼します。蝶です。」

「あぁ、蝶か、入れ。」

「はい。失礼いたします。」

父様の部屋の襖を開けると、いつもと変わらぬ胡蝶蘭の香りがした。

幼い頃からずっとこの香りが好きだった。

「蝶、どうかしたのか?」

あぁ、胡蝶蘭の香りで用件を忘れるところだった…

「はっはい。母様がお呼びです。何か大事なお話があるようで…」

それを言うと、父様はどこか切ない顔をした。

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