幕末桜
「じゃあね、おやすみ」

僕はそう言うとみゆきちゃんに背を向け歩き出した。

「っおやすみなさいっ……」

みゆきちゃんは何故か照れながらそう言った。

みゆきちゃんは僕にとって可愛い妹のようだ。

(…散歩ついでに夜桜でも見に行くか…)

ふと来てみると満開に咲いた美しい桜があった。

しばらく並木道を歩いていると土方さんの姿が見えた。

驚かそうと近寄ってみると……

土方さんの目の前には美しい女の子がいた。

…一瞬、時が止まったのかと思った。

年齢は僕と同じくらいだろうか。

汚れる事の知らないその美しさに僕はつい見惚れてしまった。

(うわぁ………まさか…この僕が…ね……)
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