幕末桜
「そうか、分かった。では行こうか。美緒莉(ミオリ)を待たせると恐いからね」

そう言って笑う父様はいつもと変わらないが、やはりどこか切なそうだった。

私と父様は母様の待つ庭へと足を進めた。

「美緒莉、待たせたね。」

「桜河、ごめんなさいね…」

「良いんだよ。」

そうゆう母様と父様のやり取りを部屋の隅で見ていた。

会話は聞こえないけど、見ているだけで二人が幸せなのがわかる。

もう、母様と父様、ホントにラブラブなんだから…

けれどそんな二人を見て私も幸せになれるのだ。

「蝶、こっちへおいで」

父様が私を呼んだ。
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