幕末桜
「嘘…」

信じられなかった。

私が桜姫だなんて……

「蝶、嘘では無いわ。貴方は本当に桜姫様よ。」

母様がそう言うと、ザァーと風が吹いた。

桜の花びらが舞い散る。

また時が止まった気がした。

「…う、ちょう、蝶」

誰かが何度も私の名前を呼ぶ。

優しくて、透き通るような声。

母様じゃない…?

じゃあ誰…?

「蝶。」

もしかして…

桜姫…?

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