幕末桜
っ…、新見はまた私を、今度は胴体を斬られた。

(…守ら…なきゃ、だめなのに…)

新見が私にまた斬り掛かろうと刀を振った。

避けようとするが刀斬られた二カ所の痛みで体が動かない。

(……もう、体が…、ごめん皆…私…)

もう駄目だと目を閉じた瞬間カキンッと刀と刀が混じり合う音がした。

「蝶ちゃん!!悪い!遅なってもうた!!大丈夫かっ!?」

この声…

「…っ山崎さ…ん」

「蝶ちゃん!!もう大丈夫やで!!ここは俺に任せて、蝶ちゃんは、はよ屯所にっ!!」

(…そうだ…。早く…知らせなきゃ…早…く…)

私は痛む肩に力を入れ起き上がる。

するとまたボタボタと音を立てて床に落ちる。

「っ!!」

痛みで声もろくに出ない。

「蝶ちゃん!?まさか、怪我を!?」

「…だ…大丈夫、です…私、は…やく屯所に…」

「無理や!蝶ちゃん!!そんな体じゃ…」

「おのれ、山崎ぃぃぃ!!死ねぇぇ!!」

このままじゃ山崎さんもっ!!

(…桜姫様っ…お…お願いです…私を…た…助け…て)

すると辺りを白い光が包んだ。

「…蝶、…」

「桜…姫様…」

< 94 / 111 >

この作品をシェア

pagetop