【コラボ】パラレル・ラブストーリー


「……あれ?」



ふと視界に入った自分の右手に、違和感を感じた。


よく見ると、薬指に見たことのない指輪が収まっている。


シルバーで、ふちがミル打ちされている、シンプルな指輪だった。



「……これ、」


「虫除け」


「虫除け?」



変な薬でも塗ってあるのだろうか。


まりあはまだ少し寝ぼけた頭で、その指輪のにおいをかいでみた。


しかし当然、何の薬草のにおいもしない。



「……マヌケ」



瑛は苦笑し、その右手をなぞった。



「そうじゃなくて……

変な虫がつかないように」



ぼそ、と瑛が言った。


それでまりあはやっと、脳まで起きることができた。


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