【コラボ】パラレル・ラブストーリー
「…………」
そんな彼らの様子を、瑛は偶然通りかかった渡り廊下から見ていた。
(噂のカップル、か)
まりあは頬を赤く染め、龍真の袖口をつかんでいる。
小首をかしげ、上目遣いで何かお願いをしているような顔だ。
甘えているようにしか見えないその仕草は、瑛にとって新鮮な印象を与えた。
(あんな顔も、するんだな)
まりあはいつも、自分と話す時は──そもそも、自分も話しかける話題がないし、彼女もあまり話しかけてこないのだが──あんな顔をしたことは、ない。
彼女はいつもいつも、緊張したような、表情筋が強張ったような顔をしていた。
そして、いつも頬が赤いので、よほどの血行不良か、緊張しいなのだと思っていた。
(いや、違うか)