Last.
小さな幸せ
「えらい幸せそうだね、澪」
「へ?」
「メルアド交換してからニコニコやもん(笑)」
「あんな!蓮!」
「なに-?また惚気?」
「本名教えてもらってん!」
「へー、何て言うん?」
「悠って言うんやって」
悠とメールアドレスを交換して
もうすでに1ヶ月が経っていた。
毎日のように来るメールひとつひとつが
私にとって宝物となっていた。
「せや」
「どうしたん、蓮」
「もうすぐバレンタインデーやん」
「そう言えばそうやね」
「澪、どうすんねん」
「何が?」
「悠くんに告白するんやないの?」
「や、無理無理!」
本当は
告白したい
好きって言いたい
だけど
私と悠は電波だけの関係。
それなのに
好き、と言えるはずがない。
きっと
馬鹿にされるだろう
「でも好きなんやろ?」
「せやけど・・・」
「自分の気持ちだけ伝えたらええんと違う?」
蓮の言葉が
胸に突き刺さる。
なのになかなか
勇気が出ない。
嫌われるのを恐れる自分に
また嫌気が差した。