運命鑑定
「...この玉子焼き、美味しくないです」
真剣な顔で、また言ったあたしにセンパイはお腹を抱えて苦しそうに笑った。
「久しぶりにこんなに笑ったよー!!」
センパイの笑いはようやくおさまったようで、玉子焼きを1つ箸でつまんで食べた。
「ほんとだ。 美味しくないね」
そう言って笑ったセンパイは、そのままの調子でさらりと続けた。
「俺、美紅ちゃんの手作りの玉子焼きが食べてみたいなー?」
...あたしの、手作り?
そんなの...無理っ!! 玉子焼きは大の苦手だし!! 下手すぎるし!!
そんな心の声が飛び出そうになるのを必死で押さえて、丁重に断ろうとする。
「お腹、壊してしまうので、やめたほうがいいと...」
「よし、決まり!! 今度のデートで、美紅ちゃんは手作り弁当持ってくるっ!!」
「...え?」
そう言って決まった、次のデート。
どうやら、あたしが弁当を作らなくてはいけないようです。
...たくさん練習しなきゃな。
そう考えていたあたしの横で、「さあ!! 腹もふくれたし!! 次は何乗ろう!!」なんて能天気なことを言っているセンパイは、やっぱり子供らしくて、でもかっこよくて。
次のデートが待ち遠しかった。