運命鑑定
◇ 第3章 ◇
-ウタガイ-
昨日の、疲れたけれど楽しかったデートはすぐに過ぎて、いつもの日常に戻る。
休日には何事もなかったように、叶華と愛斗の前では振る舞っていた...のに。
「楽しかったの?」
メガネの奥の目を細めてニヤニヤしながらあたしに聞いてくる愛斗。
「...!?」
あたしは、一瞬目を丸くして愛斗を見たものの、すぐに目線を戻して愛斗を見ないまま聞く。
「なんで、今いるの?」
「なんでって...。 叶華ちゃんに用があったから、そのついでにね」
そう言った愛斗の手に握られていたのは歴史の教科書。
あぁ、そういうことか。
今は、授業と授業の合間の10分休み。
でも、次の授業が歴史のテストということで、あたしは合間の休憩時間にも関わらず、勉強をしているのだった。
それはあたしだけでなく、他の人も同じことで、叶華もふくめ、みんなが必死に勉強をしている。
そこまで必死に勉強している理由。
それは赤点。
今回のテストで赤点をとってしまうと放課後、居残りで再テストなのだ。