運命鑑定



その手を握ると、センパイの手とは違うな...と考えているあたしがいた。


......センパイ...。


涙がまた、じわりと滲む。


涙のせいで歪む視界の中、まるで生まれたての小鹿のように震える足で立って、リビングまで歩いた。




「今、温かいミルクいれてあげる」




お母さんがそう言ったので、あたしは椅子に座り涙を拭いた。




「―なんで玄関なんかにいたの?」



目の前の机に湯気がゆらゆらとでてくるカップが置かれ、隣にお母さんが座った。



「...うん、ちょっと、ね」


あたしは、下を向きながら言った。


ふと、沈黙が訪れる。


するとお母さんが、ミルクをズズズ...と啜り、言った。


「...美紅、泣いてるの?」


「...え?」



ツーと温かいものが頬に伝った。



「あれっ...な、んでだろ...」



手で、涙をぬぐってもぬぐっても、溢れだして止まらない。



「何があったのか分からないけど、泣きたいときは、泣きなさい」



あたしは、そのとき心のなかで何かが弾けた。



優しい笑顔のお母さんの胸に顔を埋めて
大声を出して泣いた。








< 95 / 205 >

この作品をシェア

pagetop