カタナ
条件飲むと思ったのに。



「俺、あんたのこと入江ちゃんって呼びてぇもん。」




クソッ。



「じゃ、あたしも諦めよーっと。」


これであたしと橋速の会話が終わった。

しかし、周りのやつらはこれを待っていたかのように次々とあたしにむかって、

「お、おれのことも呼び捨てでいいから入江ちゃんって呼ばせてくれね?」

とか、

「おれは詩月ちゃんでいいかな?」

とか。



いちいち腹立つような頼みごとをしてきやがった。



でもこんなことで腹が立っててはいけない。

が、我慢我慢。





ガラッ

教室の後ろでドアの開く音がした。

途端、静まり返る教室。

みんなの目線は、あたしから教室の後ろへ。


何?


ゆっくり後ろを振り返る。




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