カタナ
刀を持たない“カタナ”

しらせ

あの男から逃げて約半年。


以前住んでいた町から少し離れたこの地。


ここにもそれなりに暴力団、つまりはヤクザがいた。






そんなある日の夜。コンビニから帰っている途中。

細い路地裏でのヤクザ同士の会話が聞こえた。


「今日よ、やっべぇ報せ来たんだよ。堂上組の桐元和昌(きりもと かずまさ)が襲われたっていう。」

「ハァッ!?まじかよ。つか、誰だよ襲ったの。身の程知らずだな。堂上組の桐元っつったら斎木組組長の息子だろッ!?」

「おう。だからよ、斎木組めっちゃキレてんだよ。」

「・・・で、息子どうなったわけ?」

「意識不明らしいぜ。」



堂上組の、桐元和昌。

桐元、和昌。

和昌。


あたしはその会話を聞いて寒気がした。


アイツ!アイツ!!アイツ!!!

あの男だ。

あの男だ。




あの男だ!!

あの男が和昌を!!!





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