約束の丘
「あなた…瑞穂が、こんな危ない事やりよぉのによくも呑気に応援やら出来ますね」

なんと…お母さんまで…

「………」

気の弱いお父さんは、お母さんにここまで言われたら黙りこくってしまった。

「瑞穂は、あの子は、何も解って無いの。こんな事して…こんな事で他の人より少しぐらいバイクの運転がうまくても…」

お母さんが、そう言いながら俯いた時

『今だ!行けぇ〜みずほぉソイツをぶち抜けぇ〜!』

って声が…続けざまに

『ちまちましたテクニックなんてお前の走りで蹴散らしちまえ〜』

って声援が聞こえた。

「お母さん…僕達には瑞穂が何考えてるか解らない…だけど見ず知らずの人からも応援してもらえるだけの事が出来る子なんだよ。親に出来る事は無事に走り終えるのを見届けるだけかもしれないね」

そう言ってお父さんは、ゆっくりとお母さんの隣に腰を下ろした。
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