約束の丘
その頃ピットでは

「おい、冷蔵庫まだか?」

なかなか戻って来ないあたしを心配する栄司の声

「もしかしてお姉ちゃん…コケたとかいな?」

瑞希の不安そうな声がピットの動きを止めた。

Team Queenbeeのピットが静まり返った時

『波乱の鈴鹿…またしてもアクシデント!』

このアナウンスで、全て解った。

『奇跡の高校生、ゼッケン23番中村選手…130Rでクラッシュ!』

「嘘…だろ?」

カッパがへなへなと崩れ落ち、クマさんは手で顔を覆う。

その中、今までどんな事があっても浮かれる事無く冷静だった栄司が

「マジかよ…130Rだって?なんでアイツがあんなトコでコケなイカんとや…あそこは…あそこは…」

完全に冷静さを失いガックリ崩れ落ちた。

そう130Rって去年栄司から自由に歩ける足を奪った因縁の場所だからだ。
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