《続》跡目の花嫁さん~家元若旦那の危ない蜜月~
チンと最上階でエレベーターは止まった。



エレベーターの軽快に止まる音とは逆に私の足取りは重たい。



これでトーマと離婚かと思うと…涙が出ちゃう。


「入ります!社長」


トーマはガラスの向こうに見える夕映えのビル郡を見つめていた。


夕陽の色に染まったトーマの全身。


どこか哀愁があってカッコ良かった。


「栗原…俺がいいと言うまで社長室には誰も近づけさせるな!」


「承知しました」


栗原さんは私を残して社長室を出て行った。


「久しぶりだな。美古」


「久しぶり…」


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