《続》跡目の花嫁さん~家元若旦那の危ない蜜月~
「俺は金さえ貰えたら、深い事情はどうでもいい。じゃあ、始めようか?緑川君」


「あ、はい」
俺は栗原さんの指示で、まずは給湯室に入って相馬社長にお出しするコーヒー作り。


「コーヒー淹れるのも秘書の仕事なんですか?」
営業部ならセルフでコーヒーは淹れるんだけど。



「女子社員がやるようなお茶組、コピー取りも秘書の仕事だ。仕事のスケジュール調整、取引先への送迎…秘書は常に社長が快く、仕事に取り組める環境を作らなければいけない。俺の言ってるコト、理解できてる?緑川君」



「はい」
秘書は社長の下僕みたいだな。
そう言えば、父上に似たようなコト言われたな。

『華道家は常に花を見て、その花の美しさを見極めていちばん綺麗に見える形を把握するコトが大切だ』と。


「秘書は常に社長が最も、仕事の出来るベストの状態を把握する必要があるんですね」








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