《続》跡目の花嫁さん~家元若旦那の危ない蜜月~
「君、なかなか見込みあるよ。営業部では新入社員ながら、NO1だっただけのコトある。君なら直ぐに、有能な秘書になれる」
俺は早速、栗原さんに褒められた。


給湯室に立ち込めるコーヒーの香ばしい匂い。


相馬社長にお出しする前に、二人で俺の淹れたコーヒーを味見した。



「緑川君って、華道の次期家元らしいね」


相馬社長は栗原さんに色々と俺のコトを話していた。
だったら、桃のコトもちゃんと話しておいて欲しかった。
話しておいてくれたら、こんなに親切な栗原さんに粗暴なコトしなかったのに。


栗原さんの指示で、俺は食器棚からブランドのカップソーサーを出して、カップにコーヒーをゆっくりと注いだ。


「お茶組みはOK?」


「はい」


「明日からは君一人で淹れて」


「はい」
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