《続》跡目の花嫁さん~家元若旦那の危ない蜜月~
「…君に言うべきコトではないかもしれないな。君だって…無知な男に…。もしかして、君を中絶させた男って俺に似た男?」


「まぁ」


「そっか…俺たちは一緒にいるべきではないな」


「・・・」


ボタンの縫い付けが終わった上着をすぐさま、私の手元から取り上げた。



「タクシー乗り場まで送るよ」


「ありがとうございます」


濱部社長は上着を着込み、ビジネスバックを持って、ベンチから立ち上がった。


私も急いで、立ち上がって、社長の背中を追う。


「!!?」

何の変哲も無い場所で、突然、ヒールの踵がグラつく。



「んっ?」

濱部社長が咄嗟に、私に振り返って身体を支えてくれた。
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