《続》跡目の花嫁さん~家元若旦那の危ない蜜月~
「大丈夫?」


「はい…」


「!!?」

濱部社長はドサッとビジネスバックを石畳に落とす。

そして、私の身体を抱き締めた。


「あのぅ…」



私の唇は濱部社長に塞がれた。


「んんっ…ふぁ…」


口腔を蹂躙され、私の脳裏は白く染まっていく。

誠一郎さんとは違うのに、身体が抗えない。


「・・・君のその潤んだ瞳が俺にキスさせた…」

「私は…!?」
唇にはまだ、濱部社長の唇の感触と温もりが残る。



「君の責任だと言うのはいけないな。妻とのキスやセックスは義務感ばかりで最近、全然感じなかった。俺は蜜月の君が羨ましかったんだ」


「・・・」


「俺と同じ顔の男に傷つけられた言うのに…何してんだろう?俺…何もかも上手くいかなくて、かと言って逃げるコトもできない…ゴメン…タクシーは一人で捕まえてくれ」



濱部社長は先に公園を出て行った。
私の足元に光るモノ。
社長はまた、万年筆を落としていった。




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