恋をするということ
「妃奈乃さ、午前中ずっと
あいつのこと見てたね。」
私がお弁当を食べ終わると同時に
話しかけてくる麗華ちゃん。
「だって、龍くん、今日はなんだか
ぼんやりしてるように見えたから。」
龍くんは、授業中も休み時間も
心ここにあらずって感じだった。
何かあったのかな?
「ふ~ん。
気になるなら聞いてみれば?」
ニヤニヤして言う麗華ちゃん。
せっかくの美人の顔が台無しだよ。
「麗華ちゃん、にやけすぎ。」
「そんなことどうでもいいのっ。
それよりほらっ、
早く聞いてきなよ!」
そう言いながら、
彼女は私の背中を押す。
「むっ、無理無理!
あの時以来話したことないんだから」
麗華ちゃんは、
あの日のことを知っている。