恋をするということ
「あーもう。うるせーな。
放課後行けばいいんだろ。」
こいつの性格に勝てるやつは
いないだろーな。
ーーー旧校舎 図書館
ーーガラッ
あいつが入ってくる。
もう少しで脅かせる。
そう思ったとき、
「りゅ、龍くん………?」
頭上から
なぜか妃奈乃の声が降ってきた。
俺はびっくりして
顔を上げられなかった。
いや、久しぶりに聞く妃奈乃の声に、
近くに妃奈乃がいることに、
俺の名前を読んでいることに
緊張していたんだ。
俺が寝ていると思ったのか、
隣に座って俺の頭を撫でてくる。
そして、手は下に下りていき、
俺の顔を触る。
まさか妃奈乃が
こんなことをすると思ってなくて、
早く妃奈乃の顔を見たい
という衝動にかられて
俺は顔を上げた。