恋をするということ
ーー龍星SIDE
「「「きゃ~!」」」
俺が教室に入るなり、
いつもの女子たちのうるさい声が
耳に響く。
こいつらも飽きないもんだ。
毎日毎日化粧をして、
俺に気に入られようと色目使って、
上目遣いで俺に話しかけてくる。
「うるさい。そこどいて。」
いつものように冷たい声で
こいつらの横を通り抜けながら言う。
ふと、妃奈乃と目が合う。
だけど、俺はすぐに目をそらす。
本当はもっと見ていたいのに、
話しかけたいのに、触れたいのに、
そんなことできなくしてしまったのは
俺の方だ。
妃奈乃の顔を見ていると、
なんだかいつも胸がキュッと
締め付けられた感じがする。
俺は女か。
でも、本当にそうなんだ。
多分これは恋だ。
いや、絶対恋だ。
俺は妃奈乃に恋をしているんだ。
俺にはそんな資格ないのに。