《BL》ボーイズ・クリスマス
ジングルベルが響く夜に
「なんだよ」
「もうちょっとそっちやってくれ、足」
そう言って、健太郎はコタツの中でぶつかり合う俺の足を蹴飛ばした。
「おまえなぁ、人ん家にいきなりやってきてコタツ占領するなよな」
俺の斜め横で悠々と足を伸ばしている健太郎の足を蹴飛ばすと。
「おまえ、なんかやらにゃあならんことでもあったのか?」
頬杖をつきながら奴はぼんやりとバラエティ番組を眺めている。
「……別にねぇけど」
「どっか出かける予定でもあんのか?」
「うるせぇな、ねぇよ。そうだよ、なんも予定ねぇよ!」
「だったら固いこと言うな。な」
そう言うと突然俺に向き直り、にっこりと笑ってみせた。
出た。必殺の微笑み。
だけどな。
「……女ならそれで堕ちるかもしれんが、俺にそんな笑顔を振りまいても無駄だぞ」
「あっそ」
そう言うと、さわやかイケメンの笑顔をさっと取り消し、ぶ然とした表情でまたテレビに視線を戻した。
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