《BL》ボーイズ・クリスマス
そう考えると、ますます健太郎はよくわからない奴だ。
女の子に言い寄られているのはよく見かけるけど、彼女は作らない。
まあ、特定を作らず適当に遊んでいるのかもしれないが。
「そんなに見つめて。そんなに俺のことが好きか?」
いらぬことを考えながらいつの間にか健太郎を眺めていたのか、視線に気づいた奴はにたりと笑った。
「あほか」
すると奴は俺の胸ぐらを掴み、ぬぅっと顔を寄せ。
「俺は、まんざらでもないぞ」
ぼそり呟いた。
突然胸ぐらをつかまれ真顔でそんな台詞を吐かれたものだから、一瞬どう反応していいかわからず、
「お、おう……」
と間の抜けた返事をすると。
ふわっ。
唇にやわらかい感触。
一瞬何が起こったのかわからず、呆然としてしまった。
驚きのあまり目を閉じるなんてこともできず。
目の前にある奴のまつげを見て「長げぇな」なんてことを考えていて。
この状況でそんなことを考えている自分が、さっぱりわからなかった。