自分の中で
元々香奈に対して、義男は不利の立場だった。「わかったよ。言いたいことは。」
とにかくこの話題から逃れたかった。
「じゃあ真剣に考えてよ。」
「考えてるよ。だから今度面接頑張るから。」
義男は窓を開け、煙草を取り出した。
「あのさあ、禁煙なんだけど。」
香奈は義男の煙草を取り上げた。
「いいじゃないかよ。ニコチンが栄養元なんだから。」
義男は得意な屁理屈を並べ始めた。
「体に良いわけないでしょうが。」
「馬鹿言ってんじゃないよ。煙草を辞めるとストレスで胃に穴があくんだよ。」
「でも健康に悪いじゃない。」
「出た、職業病。」
義男は話題のすり替えに入っていた。
「口だけは達者なんだから。」
香奈は呆れていた。
「とにかく今度は真剣に面接受けてよねー。」 香奈はそれだけ言ったら、夜勤に出かけて行った。
一人残された義男は、香奈の顔を思い浮かべながらいつの間にか眠っていた。
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