曖昧ショコラ【短】
「失礼します」
どうやら執筆に没頭しているらしく、篠原からの返事は無いけど…
いつもの事だから、書斎に足を踏み入れる事への抵抗はほとんど無かった。
無言のまま、コーヒーを置く。
「お前、もう帰ってイイぞ」
それから数秒して、パソコンに視線を遣ったままの篠原がそう言い、カップに手を伸ばした。
「わかりました。では、原稿を下さい」
2月15日の夜の出来事は、あたしの人生最大の失態だったけど…
「……わかってるよ」
あの時から篠原が素直に原稿を渡してくれるようになった事で、それも少しだけ報われた気がする。
どうやら執筆に没頭しているらしく、篠原からの返事は無いけど…
いつもの事だから、書斎に足を踏み入れる事への抵抗はほとんど無かった。
無言のまま、コーヒーを置く。
「お前、もう帰ってイイぞ」
それから数秒して、パソコンに視線を遣ったままの篠原がそう言い、カップに手を伸ばした。
「わかりました。では、原稿を下さい」
2月15日の夜の出来事は、あたしの人生最大の失態だったけど…
「……わかってるよ」
あの時から篠原が素直に原稿を渡してくれるようになった事で、それも少しだけ報われた気がする。