曖昧ショコラ【短】
「イイんですか……?」


明日になれば書店に並ぶとは言え、あれ程見せて貰えなかった物を発売日よりも一日早く解禁された事に、少しだけ戸惑う。


頷いた篠原はやっぱり意味深な笑みを浮かべていたけど、あたしはその真意を探る余裕すら無い程の喜びを噛み締めた。


「但し……」


そんなあたしを、彼が見据える。


篠原が発した言葉から何か条件を付けられるのだと感じて、一瞬のうちに頭の中に無理難題が駆け巡り、思わず身構えてしまったけど…


「明日、絶対に感想を聞かせろ」


どこか機嫌が良さそうな彼から提示されたのは、そんな簡単な事だったのだ。


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