曖昧ショコラ【短】
「……それだけでイイんですか?」


「あぁ。まぁ、お前にとっては難題になると思うぞ」


「え?」


「そもそも、お前が最後まで読めるかが問題だな」


篠原は小首を傾げたあたしを見て、試すように瞳を細めた。


「あの、先生……。あたし、これくらいの作品なら2時間もあれば読み切れますよ?」


眉を小さく寄せると、彼が喉の奥でクッと笑った。


「じゃあ、俺を満足させるような感想を期待してる」


何故か楽しそうな篠原の心情を知らないあたしは、意味深な笑みを浮かべる彼の態度を不思議に思いながらも、心の中はやっぱり喜びでいっぱいだった。


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