曖昧ショコラ【短】
一字一句漏らさないように視線を走らせ、次々とページを捲っていく。


その度に、1ページ目を読んだ時から心の中で燻(クスブ)っていた戸惑いが、まるで水と栄養を与えられた植物のように育っていった。


そして…


「嘘、でしょ……」


一章目を読み終えた後、ほとんど無意識のうちにそう零していた。


「どうして……?」


驚きと戸惑いに包まれたあたしは、答えが返って来ないとわかっていながらもそんな事を口にしてしまう。


まだ一章分しか読めていないけど、気のせいなんかじゃない。


【失恋ショコラ】のヒロインは、自分(アタシ)なのだ…。


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