曖昧ショコラ【短】
あのやり取りの数日後、気まずさを抱えたまま篠原の家に行けば、彼はいつものようにあたしをからかう事は疎か、必要以上の言葉を発する事も無かった。


その上、まるでお手伝いさんのように作る事が暗黙の了解になっていた食事も、篠原の方から断って来たのだ。


“不機嫌”とは、どこか違う。


だけど…


この2週間の篠原は無表情そのもので感情が全く読めず、更には事務的な会話しか振って来ない彼がそれまでと違うのは、どう見ても明らかなのだ。


その証拠に、あんなにも暴君だった篠原は、今や自由気ままに振る舞っていたのが嘘のように担当者(アタシ)を困らせる事も無い。


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