曖昧ショコラ【短】
【失恋ショコラ】を読み終えた時、全てを篠原に壊されてしまった気がした。


原稿を見せて貰えなかった理由がわかった事も相俟(アイマ)って、最初は腹立たしくて堪らなかった。


だけど…


時間が経てば経つ程、大きくなっていくのは虚しさ。


あたしを困らせる事が無くなった篠原に喜べばいいのに、そんな感情は芽生えなくて。


彼を傷付けてしまったのかもしれないと、妙な罪悪感に包まれて。


それでも謝罪は出来ず、気持ちを整理出来ないままの自分にうんざりして。


そして、そんな感情達に覆われた心の中で一際存在を主張しているのは、虚しさなのだ――…。


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