曖昧ショコラ【短】
「勝手に触ってんじゃねぇよ」


焦りと苛立ちを顔に浮かべた篠原は、あたしからバッと箱を取り上げた。


彼が感情をあらわにする所を見るのが久しぶりだったあたしは、言い訳を零す訳でも無くその表情に見入っていた。


「チッ」


落とされた舌打ちは、篠原が気を悪くしている証。


だけど、それはあたしも同じだった。


「恋人へのクリスマスプレゼントですか。イイですね」


淡々と言葉を紡いだ声は冷たく、苛立ちを全面に押し出していた。


「……お前には関係ない」


言われなくてもわかっている事をご丁寧に教えられて、また胸の奥が痛んだ。


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