曖昧ショコラ【短】
お腹の底に溜まっていく負の感情を必死に押し込め、深呼吸の代わりにため息をついた。


あたしは、きっともう以前のように篠原と仕事は出来ない。


大した事は任されていないけど、彼を前にすると公私混同してしまって、仕事だと言う事を忘れてしまうのだ。


「先生の担当者を替えて貰えるように言っておきます」


「は?」


突然過ぎるあたしの言葉に、篠原は目を見開いた。


「あたしはもう……先生の担当者として仕事をする自信がありません……」


胸の奥から込み上げる熱が、喉を通過しそうになる。


それを堪えながら、篠原から視線を逸らした。


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