曖昧ショコラ【短】
「ムカつく。……雛子のくせに」


篠原は不機嫌な声で呟きながら眉を潜めたけど、すぐに楽しげな笑みを零した。


あたしの心臓は、彼が紡いだ自分の名前にドキリと音を立てる。


「まぁイイか。お前の気持ちなんて、とっくに知ってたし」


「え……?」


「俺に抱かれた日から、お前やけに俺に反応するようになったよな。ちょっとからかったら顔真っ赤にして、潤んだ目してさ」


クッと笑った篠原が、唇の端を上げた。


「雛子は、もうずっと前から俺の事が好きだったんだよ」


種明かしにも似た言葉に反論する前に、自分自身もそれを悟ってしまう。


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