ボクの震動、キミの鳴動。
挑む
あれから3日経つけれど、瞬の意識は戻らない。
立場が逆になった。
今度は毎日オレが瞬の病室に通っている。
今日は土曜日。
いつもの様に瞬の病室に行き、瞬の近くで本を読む。
-----ガラッ
扉が開く。
「あ、関屋くん。 いつもありがとう」
瞬の兄ちゃんだった。
「あ、関屋くんだ。 プリン食う??」
今日は青山とサヤ子さんも一緒だった。
「いただきます」
瞬のお見舞い品を、何故か本人以外の人間が食す。
・・・・・前にオレのお見舞いのりんご、アイツ食いよったから別に罪悪感なし。
青山からプリンを受け取り、プリンのふたを剥ぎ取った。
『うーまー』
4人から零れる至福の溜息。
「あー!! みんなでプリン食べてるー!!」
千夏は鼻が警察犬並なんだと思う。
タイミングを計ったかの様に、瞬の病室に入って来た。
「もー。 広瀬にもあげるから、他の看護師さんに見つかる前にさっさと食べちゃいなさい」
サヤ子さんが千夏にプリンとスプーンを渡す。
「プリンなんて飲み物ですよ」
千夏はサヤ子さんからプリンだけを受け取ると、一気食い。 否、一気飲みした。
さすが、シュークリーム丸飲みしただけあるわ。
千夏は一瞬でプリンを飲み干すと
「さすがなめらかプリン。 のど越しがいい」
珍しく面白い事を言った。
「スゴイね、関屋くんの彼女。 オレ、プリンをのどで感じる人、初めてカモ」
瞬の兄ちゃんが笑った。
やっぱり、瞬の笑顔に似てる。
瞬の兄ちゃんの笑顔を見ると、なんか少し苦しくなった。
「千夏はシュークリームものどで感じる女です」
「まじか」
瞬の兄ちゃんは、驚く顔も瞬に似ていた。
「・・・・・感じる女」
青山はどうしてもそっちの話が聞きたいらしい。
コイツ、オレのこの切ない感情どうしてくれんだよ。