ボクの震動、キミの鳴動。
「何、それ」
加奈子の妹が瞬の言葉に反応した。
「オレ、癌なの。 5年経過してみないと治ったかどうか分かんないから」
瞬が加奈子の妹に切なげな笑顔を向けた。
「だから??」
「・・・・・え??」
『だからどうした』と言わんばかりの加奈子の妹の態度に、瞬が少したじろいだ。
「何その後ろ向きな感じ。 そんなんじゃ、治る癌も治んないよ。 アンタの兄ちゃん見習って、もっと肉食系で生きなさいよ。 アンタの兄ちゃんなんかねぇ、アンタのその可愛いキャラを完コピしてサヤさんに迫るってゆー貪欲さを見せ付けて、遭えなく振られたんだから」
「黙れや。 バラすなや!! つーか、完コピなんかしてないわ!!」
瞬の兄ちゃんが、焦りながら加奈子の妹の口を塞ごうとした。
そんな2人の横で、色々と驚く瞬。
やっぱりそうだったか・・・・。
瞬の兄ちゃんとサヤ子さん、なんかありそうだったもんな。
「じゃあ、丸パクリだ。 瞬くん見た時、ビックリしたもん。 安田お得意の可愛いコスマイルを瞬くんがしてるから。 兄が弟の真似するとはねー。 恥ずかしー」
「違うわ!! 兄弟なんだから似てて当然だろ。 真似なんかしてねぇっつーの!!」
加奈子の妹と瞬の兄ちゃんは、いがみ合ってはいるが、きっと仲良しなのだろう。
口喧嘩がなんだか微笑ましい。
「・・・・・兄ちゃん・・・・・ださー」
そう言いながら瞬が笑えば、『だから、違うっつーの』と瞬の兄ちゃんが否定しながらも笑い返した。