ボクの震動、キミの鳴動。





「・・・・・薬科大って、やっぱ難しいですか??」





眉を潜めていたサヤ子さんを見上げて問いかけた。





「・・・・・薬科大に行きたいの??」





サヤ子さん、質問返し。





「・・・・・はい」






「・・・・・なんで??」






「・・・・・・この前、何にも出来なかったのが悔しかったから」






オレの返事に、瞬が顔を歪めたのが見えた。





目の前のサヤ子さんの表情も曇る。





「・・・・・・今やってるシゴトは楽しくないの??」






サヤ子さんの尋問は続く。





千夏は喜んでくれたのに。





どうして瞬もサヤ子さんもそんなに顔をしかめているのだろう。






「・・・・・楽しいですよ。 好きなシゴトだから」





「瞬くんの為にそのシゴトを辞めるのは、違うと思う。 それに、薬科大は簡単に入れるトコじゃないよ」





サヤ子さんの言葉に、瞬も頷いていた。





「でも、2つ同時になんて出来ないでしょ。 やりたいシゴトがもう1個見つかったんだから、今までのシゴトは辞めなきゃでしょ。 瞬の為ってゆーか、きっかけが瞬だっただけ」






瞬が階段から落ちたあの日。





手術室の前で、これからまた辛い治療をしなければならない瞬の事を想った。





瞬みたいに苦しむ誰かの役に立てるような、少しでも治療が楽になるような、そんな薬を作りたいと思った。
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